いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

【糞を循環すること】つまり、エコなんてファッションで100年前はそれ以上の循環を人間は日常的に行っていた話

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写真は中津川の古民家からの眺め。こんなに自然豊かな場所でも、家主は「すっかり自然が変わってしまった。」と言う。昔は、ここの用水路でシジミが取れたそうだったが、森を伐採し、後から植林した木では地中に水を蓄えることができず、全体のバランスが変わってしまったと教えてくれた。

この家に来る度に不思議な縁に導かれ、カナダの孤島にあるソルトスプリングオーガニックファームのヤスエさんに出会い、あまりの超人っぷりに愉快痛快な週末を過ごした。

渡り鳥のように一年の半分を旅に費やすヤスエさんは、
「日本はね、働かないと悪いみたいな気分にさせられるけど、お金がないと不安な気持ちにさせられるけど、そんなことないんだよ。世界を見渡せば、いろんな生き方があるから。」と。
ヤスエさんは家をつくり動物を飼い野菜を育てる生活の達人で、例えば糞だって再利用できると教えてくれた。おが屑や籾殻を溜まった糞に混ぜておくだけで、2年もすればいい肥料になるそうです。ヤスエさんの家には便器が2つあって、ひとつが満杯になると、別のひとつで用を足して、交互に肥料をつくっているなんて「うんこ」の2枚使いDJのようだし、風呂の水を取り替えない秘儀も伝授してくれた。

ぼくはちょうど「うんこ」注目していた。日常生活では糞をできるだけ避けているが、調べてみると100年前には高値で取引される肥料で、江戸時代には、侍の糞は高価なモノで、長屋は家賃を安くして入居者を多くして、家主は糞を売って利益を得ていた。第二次大戦後までその習慣は続き、占領したアメリカ兵が生野菜を食べてお腹を壊して以来、人糞は肥料として使わなくなった、Wikipediaに書いてある。
 
ヤスエさんは、日本の伝統的な暮らしを紹介した英語の本を見せてくれた。カナダの島で、ユニークなライフスタイルをつくる人たちが、これを参考にしている、と。そして「もったいないは、消えてしまったんだろうかね。」と呟いた。

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この中津川の古民家は津島の長屋とは別の未来を描き始めている。それは出会った仲間の想いが乱反射して映し出す幻想的な未来図だ。もちろん、このヤスエさんとの出会いも、物語の1ページになっている。中津川の古民家とカナダの孤島、ソルトスプリングオーガニックファームは、次元旅行の入り口のように繋がっているSFな展開。

縁に導かれるままに今月の中旬から、この中津川の加子母という村で、森の木を伐採するワークショップに参加する。まったく予想のつかない人生を歩めることに感謝極まりない。ぼくは、ボートをつくる未来を手にしようとしている。(続く)
 

 夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/