ヒーローよ、立ち上がれ。何度でも。

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最近よく、影響を受けたものは何ですか、と聞かれて、アートの話しをしなきゃと、作家の名前を並べるんだけど、それは後付けで、ほんとうに影響を受けたものは、確実に漫画とロック。

小学生一年生のときにデビルマンのコミックスを品川の古本市で、父親に買ってもらって衝撃を受けた。同じころに、公園に少年ジャンプを持ってくる上級生がいてキン肉マンの洗礼を受けた。

父親は映画が好きでビデオデッキを持っていて、テレビで録画をしてはコレクションしていて100本くらいあった。ついでにアニメのガンダムの映画やあしたのジョーの映画を録画してもらって自分も何本かコレクションを持っていた。だからアニメ特有のビビットな色が好きなのはその頃から始まっている。

 

まあ、40年近く前の話しだから、いまとは状況が違うけれど、空想の世界に没頭する子供だった。つまり影響を受けたものの原点はヒーローだ。ぼくはヒーローになりたかった。きっと誰もが男の子なら特撮ヒーローに憧れるあれだ。悪と戦う。正義のために。世界を救うために変身する。変身願望がある。

 

小学生の高学年になると、だんだんヒーローになれないことが分かってくる。漫画は漫画の話しだし、特撮は撮影されたドラマ。足が速いわけでもないし、スポーツが得意なわけでもない。主人公タイプじゃない。それでなりたいと思いついたのが漫画家。物語世界をつくればいいと、こっそり漫画を描いてみたけど、とんでもなく難しい。盛り上がってる場面しか描くことができない。描いても数ページで終わってしまう。

描くよりは漫画を読み漁る専門だった中学生は音楽を好きになる。はじめて買ったのはアイドル7inchレコード。南野陽子渡辺美里TMネットワーク、たまたま雑誌でSEX PISTOLSというバンドの名前を見つけて、エロい何かかと思ってCDをレンタルしてみたら、まったく意味が分からないけれど、なんかヤバイのに触れてしまったみたいで興奮した。その頃、テレビのCMで流れたブルーハーツの「人にやさしく」に衝撃を受けてロック少年が完成した。

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父親は近所の子供を集めてピアノの先生をやっていたけれど、ぼくはもう小学生の早い段階で嫌になってしまった。教科書バイエルを庭に埋めたりした。しょうもない子供だった。父親はドラマーを職業にしていて、当時カラオケが普及する前で、キャバレーでドラムを叩いていた。父親がドラマーになったのは、夜、小学校の校庭でドラムを練習していて近所のたまたまキャバレーのオーナーがいいね、と声を掛けたのがきっかけ。今じゃありえない。学校に不法侵入して騒音って話しだ。ぼくは小学生になる前、家で留守番してたとき、ドラムスティックで、家中の襖に穴をあけたことを覚えてる。あまり怒られた記憶はない。思いついて行動せずにはいられなかった。これが創作の原点かもしれない。

 

ぼくが音楽を聴くようになると、父親はいろんな音楽を聴かせてくれた。学校から帰ると、父親がカセットでボブ・マーリーを教えてくれた。ビートルズとかローリングストーンズとか。ウッドストックの映画も撮りためたコレクションから観せてくれた。スンタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」、「時計仕掛けのオレンジ」も観せてくれた。

 

高校生になると、ぼくは映画監督かロックスターになりたいと思った。もちろんロックスターになりたいなんて誰にも言えないから、まずはバンドをやりたいと思った。高校の3年にもなると、周りにもバンドをやっている奴がいて、いよいよバンドをやることになった。ただやっても面白くないから、学園祭でライブハウスをつくろうと仲間を誘って教室をライブハウスにした。近所の音響屋さんにスピーカーなど機材を借りて。

ぼくは頭をモヒカン刈りにして、SEX PISTOLSRAMONESとCLASHの曲をベースボーカルで演奏した。

 

ぼくが影響を受けたものは、ここに書いたようなことだと思う。ぼくが絵を描くルーツには、レコードジャケットがある。ジャケットの絵がその音世界を表現しているけれども、それはまったく次元の違う世界で、実体のない音と二次元の絵の世界は重ならない。ぼくにとって絵を描くことは、レコードとそのジャケットの絵との関係に似ている。レコードがぼくらの生きている現実世界だとすれば、絵は現実を空想によって理想化した世界を象徴している。

 

ぼくは漫画から道徳や人生を学んだ。ちなみにベスト3を挙げるなら「シュマリ」「火の鳥」「漂流教室」。手塚治虫楳図かずお。あと小山ゆうも好きだ。

音楽からは社会への抵抗の仕方を学んだ。ボブ・マーリー、パンク、ヒップホップ、特にヒップホップのシーンから現れたグラフィティー・アーティストのラメルジーには強烈な影響を受けた。たぶん、ラメルジーに遭遇してなかったら絵を描いてなかったと思う。

本も読んだ。もっとも好きな本はヴォルテールの「カンディード」、宮本武蔵の「五輪書」、宮沢賢治の「農民芸術概論」。

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ここに名前が上がったのは、ぼくのヒーローたち。44歳のいまでもヒーローになりたいと思っている。このご時世、誰かがやるのを待ってても何も変わらない。だったら自分がやるしかないんじゃないか? もっとマシな世の中になった方がいいと思わないか?