いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

誰が作ってるのか、壁画、カタチ、プロジェクト。

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朝起きて外に出るといろんな鳥が鳴いていた。まだ山鳩くらいしか聞き分けられない。昨日まで都内にいたから、音の違いがはっきり分かる。

分かると分からない。極の端と端にあるもの。北と南。上手いと下手。都市と田舎。金持ちと貧乏。成功と失敗。社会と自然。晴れと雨。大人と子供。

頭の切り替えにこれを書いている。文章は誰かに伝える目的よりも、思考の整理とか、現在地を確認するために書いている。そのやり方が結果的に何かを伝えたらいいとは思う。それよりもっと手前、今の目の前を咀嚼するために書いている。

いまは午後4時。雨が降っている。見える山に霧がかかって美しい。空はグレーに見える。東京に住んでいたときは雨が鬱陶しく感じた。今は仕事が休みになる。仕事というか、外でやらなきゃいけないことが停止して、内でやらなきゃいけないことが動き出す。外と内。動と止。

昨日まで中野区のZEROホールの外壁に絵を描くプロジェクトだった。中野Mural Artプロジェクトのディレクターが声を掛けてくれた。区のプロジェクトだから市民参加型にしたい。けれども絵を描く作家だと難しくて、と理由を教えてくれた。つまり絵を描く作家は絵を描きたい。しかもベストな。だとしたら市民の参加なんて必要ない。しかし我々夫婦は絵描きではない。

壁はタイル張りで絵を描くのが難かしそうだった。だから、タイルひとつひとつ色を塗って、ミニマルなカラーバーを壁に描いたら綺麗そうだな、じゃあ、街行く人に声を掛けて中野色を聞いてみよう。サンプル12色から選んでもらう。はじめはアンケート用紙に投票してもらう計画だった。壁に絵を描きはじめると、街ゆく人が見ていく、そんな人に妻チフミが声を掛けてヒアリングして、150人ほどの色を集めた。

壁画は、Mural Artチームが手際よく作業していく。ディレクターの大黒氏、相方のパチャ、デザイナーのモモちゃん、バイトの学生、クマ、ヒーロ、ノア、動画撮影の、が手掛けている。バイトの学生三人は中野の専門学校でアーティストになる勉強をしているらしい。そんな学科があるとは。

アンケートを取るのに目立った方がいいとオブジェ屋台を制作した。

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ぼくたち檻之汰鷲が何かを制作しているというよりは、与えられた諸条件によって導き出された最適解がカタチになって表れる。コラージュの方程式があるのかもしれない。自然発生の技術。

3月23,24日に参加型でタイルに色を塗ってもらい壁画は完成する。と言っても、タイルがあれば参加者がいれば永遠に続く。そうなってくれたら尚面白い。街のなかで色が生成され増殖していく。

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