いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

知らない土地の魅力をアートにする。

北海道滞在制作二日目

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ホストのジンさんに開拓する地域の人の話を聞きたいと伝えた。まずギャラリーをアトリエとして使わしてくれる人がいるからと豊滝を案内してくれた。雪のなか道の奥へと進んでいくと、Mountain Stormという看板が現れた。紹介してもらったのは大村くん。2年前にここの土地を買って、何かをやろうとしている。この日は、大村くんがシューマイのお店をプレオープンする日だった。誰もがこんな奥地にシューマイを買いに来る人はいるのか、と思う。

ところが大村くんは

SNSとか発信しながら、まあマイペースに楽しくやっていけばいいんじゃないかな。自分でも分からないけど、やってみたいんだ」と話した。

大村くんはラーメン店を経営していて、お金はそちらで稼いで、自分は自由なことをやろうとしていた。小さなプレハブをギャラリーに改修してあって、まだ使っていなかった。大村くんは快く、そこをアトリエとして使っていいと言ってくれた。ジンさんは、そこまで準備してくれていた。

大村くんが「シューマイ作るのを見られると恥ずかしいから散歩でもしてきて」というので景色を見て回った。どこも雪だらけだったけど、理想の雪景色だった。いくつか絵になる景色も手に入れた。

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シューマイが出来上がって、ぼくたちは大村くんのシューマイのお客第一号になった。「こんな場所にお客さん来ると思ってなかったけど、いやほんとにきたね」と大村くんは笑った。

 

Mountain Stormを後にして、ジンさんの奥さんのご両親に話しを聞きに行った。豊滝の土地を拠点にプレイスポットをつくる計画だ。だからまずこの土地の歴史を聞いてみたかった。

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四代前が北海道に開拓使として移住した。明治時代の話だ。それから代々この土地に暮らし農家をしてきた。今でこそ便利になって、快適に暮らせるようになったけれど、当時北海道を開拓した人々の苦労は想像を絶する。ご両親は外に降り積もる雪を眺めながら「やっぱり雪は大変だよね、それがなければ楽なんだけど」と話した。

ぼくたち夫婦が芸術家で、この土地の景色を絵にする、と話して、去年描いたコスモスの絵を見せたら、とても喜んでくれ、豊滝の絵が楽しみだ、と言ってくれた。

知らない土地の魅力をアートにする。この滞在制作という手法をやってきて、それで人を喜ばせることができるなら、ほんとうにそれができるなら、ぼくたちは、もっと社会に必要とされる。今すぐに必要とされなくても、これまでしてきたことが、こうして仕事になるように、これからすることもきっと理解されていく。60歳までこの冒険を続けたい。

野良芸術家だ。野良犬のように。Stray Dog. 英語のStrayとは迷うという意味がある。けれども野良犬は迷っていない。自由なんだ。

続)