いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

やりたいことがあるなら、まず自分に負けないこと。

言い訳をする。諦める。忘れる。それをしないように抵抗する。自分に。大切なのは自分の側から立ち上がること。相手の側ではなく。怠けない。相手の側で立ち上がってしまえばまるっきり成果や経験を盗まれてしまう。搾取。自分が持っている可能性や価値を信じてくれる人はほとんどいない。それは見えないから。だから多くの人は諦めろ、やめとけ、無理だ、従え、と言う。

昨日撮影取材の打ち合わせをした。それが実行されるかは分からないそうだ。構わない。正直に話した。ぼくがしていることに興味を持ってくれる人がいる。それは見えるからだ。やめとけ、無理だ、従え、を無視してきた未来に、自分の側に立ち上がってきたものが人の目に見えるようになった。

ランドスケープの話をした。集落の草を刈ったり木を切ってランドスケープを作っている。それは設計やデザインしているのですか、と質問された。設計や計画はない。目の前にあるカタチを取り出している。土手や田んぼや畦道、水路、集落の地形は何百年もかかって人の労力でこのカタチになった。そのカタチの使い方も知らなければ、元のカタチも知らない。

そもそも「つくる」がカタチを変えるとかゼロからの創造と考えがち。つくる前にカタチを整える作業がある。はじまる前に整える。楽器であれば調律という。チューニングする。自分を軸にチューニングする。周囲と調和する。会話をする。

朝起きて英会話。先月はゼロ。反省して今月は3日連続。自分の側に立ち上がるのは難しい。これを説明したい。自分がやること。受け身ではなく。SNSを眺めるのではなく発信する。本を読むだけでなく文章を書く。絵を描く。料理する。英会話する。これが自分の側。To do for myselfか。例えば会社に行くために歩くのではなく、自分の健康のために歩く走る。すごく小さな事だけど、積み重なって大きな成果になる。"Stand up by myside"。というか、ほとんどのことがこれで成り立つのではないか。

相手の側に自分を立ち上がらせることもできる。誰かのためにしたことが自分の役に立つような。会社で働いてスキルを身につけて独立したり転職できるような。企画を提案するとか。逆に自分の側のことをやらせてくれない環境もある。

午前中、炭焼きのために木を切った。師匠は巨木を製材している。その端材が板になった。破片。板を手に入れた。木を斧で割った。その木に菌が模様を残していた。まるで木に鳥の象形文字。思いついた。"Black bird". ビヨンセの新作の2曲目はビートルズのこのタイトル曲をカバーしている。調べると68年、公民権運動に対するビートルズのアンサーだったとか。60年を経てビヨンセが歌う。

Blackbird singing in the dead of night
Take these broken wings and learn to fly
All your life. You were only waiting for this moment to arise

菌が描いた模様を彫る。それをできるだけ身の周りのもので色をつけよう。煤と灰がいい。ボンドを混ぜて。鉄媒染もいい。作品をつくるのではなく発見している。日々の生活のなかで発見している。生きるための芸術。

これを書いたあと、スケッチする。そのカタチを自分のものにする。それこそが自分の側。自分の側に仕事を立ち上げる。