積み上げてあるのは、愛知県津島市の築80年の家を改修する際に出てきた廃材で、大量であれば産業廃棄物として有料で回収してもらわなければいけないものを、41個の箱にして、ペイントやコラージュをして、価値の再現を試みている。
箱ーEndless
これは、古い家を改修しながら着想したコンセプト「生活芸術」作品。名前の通り、額に入った絵ではなく、道具としてのアート作品をつくろうとしている。この展示は、インスタレーションで、鑑賞者が、展示物に触り動かしていく過程も作品のひとつとして、表現している。箱は、「0円」なので気に入った人が持ち帰り、生活の道具して使うことができる。
<箱を持ち帰ったひとが送ってくれた写真>
「0円」も経済のひとつで、所有の欲望が発生することで、アートは自分事になり、箱をどう利用するか鑑賞者は考え、足を止め作品に触れる。ここに貨幣経済が発生しなくても印象を与え覚えてもらい、箱から出会いが生まれる。この箱からある企業イベントでの展示と、海外のカンファレンスのオファーを貰った。両方とも提案とのことでまだ決定していないが「0円」だからこそ、開けた未来がここにある。
箱を取った人は、その後どう処理するのか。元通りにするのか、放置するのか、その繰り返しが、この展示のカタチを変えていく。この光景が、今回のインスタレーションで描きたかった世界で、箱は1週間ですべてなくなった。
DANCE WITH WOLVES/滅びゆく者たちへ
ここにいるのは100年前に滅んでしまった日本の狼。当時流行した狂犬病に罹った狼が人を襲い、畑などに現れるようになったという説があり、最近では、自然界の食物連鎖の頂点者として見直され、カナダでは復活導入することにより、増え過ぎたシカが減り、木や草が繁茂して、自然のバランスが回復したという話しもある。
この日本でも狼再導入の運動が草の根で起こり始めている。あらゆる場面で、わたしたちは選択しなければならない。右なのか、左なのか。左を選べば右を欠いて、右を選べば左を欠いてしまう。
例えば原発にしても、いまは危険で問題だらけだが、もし今、すべてを止めたとして、100年後には、まったく違うアプローチで原子エネルギーを利用できるようになるかもしれない。その時、危険だと言って廃棄し全く活用しなくなった今の時代を笑うかもしれない。
わたしたちは常に選択しながらその人生を過ごしている。その意味で誰もがアーティストだということ。生まれて与えられた1分1秒がカンヴァスであり、描く責任があるということ。よりよい未来をつくる責任をほんとうはひとりひとりの個人が持っているということ。
この狼たちは、右でも左でもなく、ただただ自分が信じる道を進む者へのメッセージ。すべての人間がアーティストで、そう考えて日々の選択をして動けば、社会のカタチが変わり、未来も変わる。
ミエナイウツクシサ“Invisible”
アイヲアイスル”I love you”
テキハワレナリ“ Know your enemy”
ソノママデ“The way you are”
夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/