いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

日本に生まれてその歴史の先端に生きている。日本人として何を表現できるのか。

着物のリサイクルショップに行こう、とシンガーソングライターのまのあけみさんと、津島の吉祥寺の羽場さんに誘われ、岐阜県大垣市に向かった。お店の近くに空き家があり、その空間を覗いた。朽ちた日本家屋。

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6月の中旬からニューヨークで予定している個展に着物を持って行きたいと考えていたので、それは素晴らしいタイミングだった。着物の模様とパターンは日本人の芸術性がそこに現れている。今は身近でも海を越えれば、遠い極東の文化、それは今でも価値があるはず。

どうして、僕らは身の回りにある文化を遠ざけて、遠くにある文化を手繰り寄せるのか。考えてみれば、身近だった文化が遠くに去っていく姿を目の当たりにして、慌てて手繰り寄せているのだから、どっちも似たような話か。

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 頭の中にはハーレムやブルックリンの人々が着物を羽織っている写真がある。文化をミックスしてあからまさに違和感を表現する。文化が衝突する様を。

頭の中には、ブルックリンの人々に「理想の暮らしとはなんですか」というアンケートを集めて、絵を描く計画がある。予想としては、人間ひとりひとりの理想は限りなく美しい。
その絵は着物の模様やパターンを利用して構成されている。日本的なその画面構成。ニューヨークはヒップホップの発祥地でもあるから、サンプリングとグラフィティーには最大の敬意を払ってサンプリングしたい。カットアンドペースト。それはまさにコラージュ。思い出したラメルジーだ。訪れたい敬愛する我がルーツ。

大きな作品を約1カ月集中してつくる。観光は要らない。ブルックリンに刺激を受けて足跡を残して帰りたい。

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夕方、近所の方が様子を見に来てくれ「ウチで風呂入っていけ」と言ってくれた。風呂に入ったら「メシを食っていけ」と。

20時から久しぶりに英語のレッスン。2012年に池袋の喫茶店で始めたスペイン人の先生マーティン。少し期間が空いたけど、ぼくと英語で話してくれる。
「久しぶりに生きる芸術のことを思い出したよ。忘れてた。これは生きるための哲学だ。でもノリオさんは毎日アートしているけど、ぼくにとって日常は、芸術でもなくただの日常だよ。」先生が言った。

それでも先生は忘れていた「生きる芸術」をインストールできた、と言ってくれた。シンガーソングライターのまのあけみさんも、生きる芸術を楽しんでくれている。

 

生きる芸術。
リビングアートとは、何か。
What is the art of living?
実践するための3つのコンセプト
3 concepts to practice.

1.
バイバルアート
Survival art
2.
社会彫刻
Social Sculpture
3.
生活芸術
living art
1.
バイバルアートとは、商品を買って制作するのではなく、
動物が巣をつくるように、身の回りにある材料を利用して制作すること。
Survival art is not consumption. As much as possible it should use materials from
the environment and nature, like the way animals build their nests.
2.
社会彫刻とは、人や歴史、文化、
町や都市などをコラージュすること。
より理想的な社会像を行為や活動、
作品もしくはパフォーマンスとして出現させること。
Social sculpture is to collage people, history, culture, towns and cities. it will
present the ideal society as action, activity, works and performance.
3.
生活芸術とは、足るを知ること。
日々の暮らしのなかに芸術を発見し、
人生を芸術に変えることです。
For living art, there’s beauty in the small things.
It is to discover the art in our dailylife, to turn our lives into art.