いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

君は地球を感じて生きていますか?

f:id:norioishiwata:20230111164042j:image

妻の実家で快適な年越しを過ごし、いつもとは違う気持ちで北茨城の我が家に戻ってきた。炬燵に美味しい食事、お酒、テレビもいいけれど、木を割ったり運んだり、水が凍ったり火を焚くような自分の身体を動かしてつくる生活が心地よくなっていることに気がついた。

日が暮れる前に、薪風呂を焚いて、薪ストーブに火をつけて夜の準備をした。日が暮れると急に風が強くなってゴーゴーと唸り声をあげた。ここは谷だから、ときに風が突風のように通り抜けることがある。外に出てみると、雲は吹き飛ばされ、夜空に月と星が輝いていた。

f:id:norioishiwata:20230111164101j:image

そのときに「地球のうえにどう生きるか」というテーマを思い付いた。人間にとって共通の必須条件は地球だ。地球がなければ人間も存在しない。

ぼくという人間がいて、妻がいて、ぼくらには子供はいないけれど、父や母はいる。それが家族という単位になって、家族、町、市、県、国、島や大陸、そして地球へと広がっていく。最近では主語の大きな話をすると笑われる。けれども、家に囲われていて、ぼくらは地球を感じることができるだろうか。

年末に読んだ「植物の生の哲学」が素晴らしかった。これまでの哲学が、西洋中心でしかも人間中心で語られてきて、植物の存在に言及されることがほぼなかった。むしろ、植物があるから人間が存在しているという根源を無視して哲学できるのか?と作者は問いかける。

f:id:norioishiwata:20230111164149j:image

当たり前のように呼吸できるのは、植物が大気を作っているからだ。植物が大気を作り出したことによって生物は、陸地へとその活動範囲を広げることになった。生物が海から陸に上がって進化したのではなく、植物が海という環境を陸地まで拡大した。つまり、わたしたちは大気という海に浸っている、と。

目の前にあるのではなく、浸っているとしたら、それは植物のようにぼくらは、根を張り、葉を広げて、身の回りの環境すべてを吸収している。テレビが流れてくる情報を浴びるように摂取する。夜空の大気と月明かりを浴びる。レストランの窓から海を眺める。サーフボードに乗って海へと漕ぎ出す。

地球を感じるとき。それはいつだろうか。はっきりしているのは、自然に触れたとき、ということ。けれども、都市でも地球を感じることはできるはずだ。スケートボードは、自然のチカラを利用して都市の形態をハッキングした遊びだと言える。重力を利用したダイナミックな遊びだ。

「地球を感じる」

これを作品のテーマに観察をはじめてみよう。

2023