いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

生活芸術日記2022.0512

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カラスが飛んできた。荷物のそばで獲物を狙っていた。妻は「何か食べたいんだね」と言った。自分はカラスというだけでなんとなく邪険な気持ちになっていた。カラスは何も悪くないのに。

それからカラスが気になって、改めて飛んでいる姿を眺めると、勇壮な飛び姿だった。こないだ鷲のオブジェを制作したばかりだったので翼のカタチも似ているように思えた。

景観をつくるプロジェクトも3年目になった。おかげで草刈り技術も深まってきた。草を刈りながら考えるのだ。没頭する。昨日のこと、未来のこと、気になること。草刈りの仕方が変わった。どこを刈ったら綺麗に見えるのか、そういう眼差しでやってみた。

この日記シリーズのタイトルを思いついた。生活芸術日記だ。もし生活が芸術になったらどうなるのか。生活なのだから、それは日々の出来事として現れる。現在進行形で掘り起こされる出来事のなかに種をみつける。

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引き続き隙をみつけては「気流の鳴る音」を読んでいる。ドンファンの教えを解説する本だけあって、ネイティブ・アメリカンの教えを現代社会の中に位置づけし理解させてくれる。

「双生児は鳥だ」というヌアー人の考え方と、Tシャツに値段が付くのは同じ背景を読み取ることができる。双生児が鳥であるという思考はヌアー人にとっては常識であり、資本主義社会のなかではTシャツに適正な価格がついているのも当然である。さらにTシャツが特定のファンがいるバンドTシャツになれば、ヌアー人の思考のように他者からは理解できない価値が付加されることもある。

自分が音楽が好きでバンドをやっている、その背景を読み解くとしたら、CRASSの影響がある。アルバムを含めたアートワークはコラージュ作家のGEE VAUCHER(ジーヴァウチャー)にも影響を受けている。コラージュ、パンク、詩、DIY、と自分を構成する要素がここに並んでいる。

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CRASSの興味深いところは、すべてに於いて背景から逸脱しているところだ。彼らはレコード会社から一枚アルバムをリリースするが一曲目の歌詞を検閲されて無音で発売された。それをきっかけにレーベルを立ち上げレコードプレスして流通させるようになる。その表紙イメージを手掛けたのがジーヴァウチャーだった。

パンクムーブメントから生まれたバンドでありながら、中心人物のペニーリンボウは、ピッピーの生き残りのようでもあり、スクワットした家にバンドメンバーと暮らした。つまりライフスタイルそのものがCRASSだった。

例えば、同じ時代のCLASHやSEX PISTOLSだったら、ステージでパンクスを演じて快適な自宅で過ごしていただろう、きっと。

CRASSの音楽性も特殊で、詩をまくしたてるボーカルはほかに喩えようがない。パンクロックの一部なんだろうけれど、このコトバの羅列は、まるでヒップホップのようにも感じられる。サウンドもメロディーはほぼなくてロックのミニマリズムとも言える。

そんな経緯でCRASSを聴き直していたら、偶々イギリスで詩集が出版されているのをみつけてしまい、しかも、2013年にはジーとリンボウによる限定版が再発されていた。探してみたら7000円で初回版が手に入りそうだった。こうやって本に巡り合い手元に集めてしまう。