いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

非常事態にも変わらない暮らし。

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シンプルな暮らしが続いている。朝起きて、薪ストーブに火をつけて、お湯を沸して、と、チフミがやった後に起きて、餅かパンをストーブの熱で焼いて食べる。お喋りして、ストレッチと筋トレをする。

9時になったらアトリエへ移動する。歩いて2分。今はオーダーを貰った肖像画を制作している。まさに芸術家らしい仕事だ。オーダーをくれた人は、ぼくらの作品を何点も所有している。だからパトロンとも言える。

チフミは肖像画の色付けをして、ぼくは額を鑿で削る。ひたすら。音楽を流して作業を始めようとしたら、建具職人の横田さんが現れた。ここを気に入って毎日訪ねて来る。今日は、シゲ坊さんが死んだことを知らせてくれた。ぼくたちは、昨日もう聞いていた。そう伝えると、別の人にも知らせると出て行ってた。

作業は、鑿で削る。音楽はジョンコルトレーンがハマった。ひたすら削って、お昼になった。家へ帰って、横田さんの奥さんが焼いてくれたパンを食べた。このパンがとても美味しい。奥さんは、パンを焼くと食べて、と持ってきてくれる。有難い。

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こんな風だから、あまり食費もかかっていないような気がする。具体的なお金のことはチフミが把握している。ぼくはそんなことを気にせずに制作に没頭させてもらっている。

午後は、肖像画にちょっとした工夫をするために磁石を町まで買いに行った。クルマで30分。その間は、RadioGardenというアプリで外国のラジオ番組を聞いている。今日はサンフランシスコ。アメリカは、なんとなく西海岸がいい感じがする。偶然、日本語の歌が流れた。イースタンユースだった。

100円ショップセリアで磁石を買って、帰りに、前に住んでいた家の荷物をクルマに積んで帰った。今年度中に退去の予定なので、少しずつ片付けている。

アトリエに戻って、再び削る。ひたすら。嬉しいのは、自分で研いだ鑿がよく切れること。道具を手入れできて、やっと技術が身につくように思う。

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17時になったので今日の作業は終わりにした。家に帰ると、薪風呂が沸いているとチフミが教えてくれた。買い物の後に沸かしておいたらしい。夕飯は、昨日貰ったおでん。貰ったビールを飲みながら食べた。そのあと、薪風呂に入って19時頃から、作品集の編集作業をはじめた。こんな風な日々を過ごしている。

ところが、いま世の中はコロナウィルスで異常事態となっている。もう1年以上も、警戒状態が続き、今年に入ってからは緊急事態になっている。ニュースで電通のビルが売却されると読んだ。

たぶん、人は、戦争になっても緊急事態になっても、生きていくための営みは必要で、シンプルな暮らしを作れば、何にも振り回されることなく、淡々と日々を過ごすことができる。ぼくは東日本大震災のときに感じたことを反映させて自分のライフスタイルを作った。その結果がいま実践になっている。

ぼくの暮らしはとても小さくなって、世界全体の何かが変わろうとしている。