いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

新しいことに出会ったらゼロから始める気持ちが3年後に生きるための技術になる

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新しいことを体験すると、言葉にならないことがある。それってほんとうに新鮮なことだ。

きっかけは、昨年12月に有楽町マルイの個展で、お笑いの「よしもと」の芸人さんとコラボをさせてもらったとき。
ぼくは、ずっと音楽に惚れ込んでいたから、正直なところ、芸人さんをバカにしていた。テレビを見て、誰が面白いとか面白くないとか、ふんぞり返って批判していた。

ぼくが出会った芸人さんは佐久間一行さん。佐久間さんは、展示のイベント企画の最中、会話や状況のあれこれを拾って「今」を楽しい空間に変えていた。

何これ?
驚きだった。
当たり前過ぎて
技術に見えない技術。
でも確かにそこには技がある。

何だこれは!?

今週の16日。
佐久間さんの縁で知り合ったリサちゃんに誘われ、生まれて初めての歌舞伎に行った。
高尚な伝統芸能なんだろうけど、ぼくにはとても庶民的なものに感じた。テレビでお馴染みのコントのセットみたいだったし、子供の頃、テレビで観ていたドリフターズの原形も垣間見えた。

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身振りとセリフ。
衣装や色。
つまり、舞台芸術
生活を極度にデフォルメした世界観。

日常を楽しくする芸術。

ちなみに歌舞伎の発祥は、1600年ころに遡る「かぶき踊り」。お国という女性が踊りはじめたのが起源とされる。ストリートから誕生している。詳しくは、ネットで調べればいろいろ分かる。

テレビの文化は世代的に、あまりにも当たり前に存在していて、それは何かアートとかカルチャーとして扱うに値しないと勝手に切り捨てていた。そういう自分に気がついた。けれども、ぼくが好きな音楽の方が、借り物のカルチャーに過ぎない。ロックとかブルースとかヒップホップとか。アメリカ、イギリス由来。日本独自の文化はもっと前からあって、それは何だろうかと知りたくて、古民家に暮らしたり、地方を転々としたりしてきた。ここに生活とは別の「芸能」という日本独自の文化の入り口をみつけた。

歌舞伎から現在のお笑いに通じる道にも、何かしらかのアートを見出すことができる。これを西欧の借り物ではない、日本らしい表現形態に昇華できるはずだ。

お笑いって、どんなものなのか。週末、福島県白河市で開催されたよしもと新春イベントに行ってみた。生まれて初めてお笑いのライブ。

お目当ては、展示でコラボさせてもらった佐久間一行さん。
全部で6組がライブをやって、基本マイクと身体だけで表現する。
目的は笑わせること。
至ってシンプルなこと。
老人から子供までを笑わせる。
何だろうか。
まだ言葉にならない。

もちろん、アートとはジャンルが違う。でも同じ表現者として、ぼくも老人から子供までを楽しませたい。

この日のイベントの最後に、出演した芸人さんのサインがプレゼントされる抽選会があった。

中川家
佐久間一行
パンサー
ウーマンラッシュアワー
ライス
インポッシブル

テレビでよく見る芸人さんたち。せっかく佐久間さんのライブを観に行ったから、挨拶ぐらいしたかったなあ、とか思っていると、まさかの。

なんと、佐久間さんが引いたらクジがぼくの席番号だった。

横でチフミがグラミー賞を受賞した女優みたいに喜んでステージに歩いていく。佐久間さーん!みたいな馴れ馴れしいチフミを見て、有楽町マルイで一緒したのを思い出してくれた佐久間さん。

2019年。
生活芸術に新しい流れがやってきた。
面白いって何だ? 
楽しいって何だ?
笑うって何だ?

生きるための芸術は
生きるための技術。
面白く楽しく生きるためなら
なんでもいい。
なんでもやってみよう。

続く。