いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

One of thesedays 54

東京でゲストハウスLITTLE JAPANを運営している柚木さんと話した。

「地方を回っているのは、ネットワークをつくっています。都市と地方を繋げたいんです。あと、移住って、カフェやってますとか、古民家に住んでますとか、自給自足ですとか、キラキラしたことばかりじゃなくて、地方に引越しして、普通に仕事して、それでも地方での暮らしを楽しんでいる人を紹介したいと思うんです」

「移住じゃなくて引っ越しでいいってことですね」


柚木さんは自分のゲストハウスを、東京と地方を行ったり来たりする二拠点よりも、東京に来る数が少ない、けれども、たまに来る、そんな人たちも利用する宿にしていきたいという。

柚木さんは
「あと空き家も探しています。地方に長期滞在できる場所をつくりたいんです。数人でシェアすれば、かなり低コストで別荘が持てますね。まだまだ地方に可能性はあると思うんです。むしろ需要は拡大していきますよ」
*LITTLE JAPAN(http://www.littlejapan.jp/

🏠

ぼくは思う。どうして東京に、そんなに人間が集中してしまったのだろう。東京から離れるほどに、家は広くて家賃は安くなる。まさに柚木さんが考えるようにカフェとかゲストハウスとかじゃなくても、週に何回かアルバイトをして、自分の本業を育てたり、農作物を育てて食費を軽減したり、やり方はいろいろある。

死ぬほど、労働に命を費やすことはない。けれども、東京に暮らして働くことが悪いという話しではない。なんだって本気で夢中で取り組めるなら、それは幸せなことだ。

 

柚木さんを芸術活動拠点施設の「期待場」とギャラリーになった体育館を案内して、長浜海岸、二ツ島を回って、食事処「よっこらしょ」のコーヒーとチーズケーキをテイクアウトして、二ツ島を眺めながら話した。

午後、揚枝方のミツコさんが「昨日のブログを見たよ、畑やるのね、ウチの使っていいよ」と連絡をくれ、場所を案内してくれた。これで、ほんとに畑をやることになった。問題はイノシシ。もしイノシシがいなかったら、食べ物を作り放題の楽園だ。

 

北茨城市のはイノシシではなく、イノブタらしい。家畜のブタと野生のイノシシが交配してそうなる。調べたところ、唐辛子が嫌いらしい。嗅覚が人間の8000倍もあるらしい。

 

そのあと、北茨城市のガラス工房シリカの2人が、ディスプレイ用の廃材を探しに来た。シリカは、ガラス作家さんたちが、制作販売する施設。北茨城市が俯瞰できる山のうえにあり、そこは絶景のスポットでもある。
*ガラス工房シリカhttp://www.studiosilica.com/)

 

ガラス作家が、作品を売って生きていくのは険しい道らしい。なんにしても同じかもしれない。起業して経営していくのも。

「ガラス作家で国内でもトップのひとたちが、家を作ったり、畑をやったりして、何でもつくっちゃうんですよ。木を切って薪にしたり。やっぱり作品だけで生きていくのは難しいから、生命力が凄いんです」

作家はある一線を超えると、山に住む。そして、家を改造する。畑や田んぼをやる。木を切って薪をつくり暖をとる。創作活動は、その行為自体が自然回帰なんだと思う。

夜、食事処「よっこらしょ」の社長さんからデザインの相談メールが届いた。カフェをしたから、社長の頭にぼくのことがイメージされたのかもしれない。やっぱり、経済は循環している。そんなことがあるから、繋がりある場所におカネを使った方がいい。おカネの使い方ひとつで身の回りの環境をデザインすることができる。

イタリアの田舎町にスターバックスが出店したとき、小さな個人経営のカフェ文化を守るために、地域で一致団結して不買運動をして2カ月で撤退させたと誇らしく話していたのを思い出した。