いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

生きている手話に出会って、感情表現を知ったこと

4月12日(木)

朝7時に起きる。7時30分から、依頼主、まのさんと改修のミーティング。

金曜日までにやれることを確認。まのさんを楽しませつつ、満足してもらい、期待以上の結果を渡して帰りたいと思う。

10時、まのさんの友人たちが、改修の手伝いにくる。ひとりはろう者の女性だった。けれども、その表情、感情表現があまりに素直でチャーミングで驚いた。子供のように無邪気なお婆さんの伊藤さん。

驚いたのは手話が示す、手や動作の由来。ひとつひとつに納得させられる。目がひっくり返る手の動作は「驚き」を示す。「セレブ」は、小指を掌に立てるように載せて、リッチな顔をして、ゆっくりと両手を上へあげる。まるで成功のステップを上がるように。

「ありがとう」の手話は、お相撲さんが勝ったときにおカネを受け取る動作。100万円受け取るような気持ちでやること。

言葉が足りない分を表情と感情が補う。ぼくが言葉で済ますところを表情と感情がその代わりをする。だから、その表情と感情は、見たことがないほど豊かだった。伊藤さんの表情が輝いていて、周りが明るくなるほどだ。

伊藤さんの手話は、ご高齢の方から学んだことも取り入れていて「生きている手話」と呼ばれているそうだ。ご高齢のろう者の方は、手話を学ぶ機会もなく、身振り手振りで生きてきた。その手話は、記号的な役割よりも、表情や感情で伝えるツールだと教えてくれた。

ほんとうに驚いた。
当たり前にあることの大切さを忘れてしまうことがある。

 

ギリシャ神話には、イカロスが太陽に向かって飛んでいき、その身を焦がすエピソードがある。それは欲望だ。新たに何かを手に入れなくても、誰かと競ったり、奪ったりしなくても、いま自分が持っているものを総動員できれば、できることがたくさんある。


言葉ではなく、その想いを感情や表情で伝えれば、きっともっと周りのひとを楽しませて、明るくすることができる。当たり前ことこそ大切だ。それを知って、使い熟すことができれば、ぼくたちは、おカネに振り回されることなく、楽しく豊かに暮らすことができる。
If I can tell my emotion not only words, with gesture and face, I can illuminate around myself. "Everyone knows that" is very important thing. when we realize and master it, we can live more happy and rich without monetary economy like slavery.


歩くこと、見ること、聞くこと、話すこと。
今日という一日があること。
そのどれも、
もっと使い熟すことができると気がついた。


One of these days 15
生活芸術家
檻之汰鷲(おりのたわし)

http://orinotawashi.com