いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

2016年が始まった。すべての人間に平等に与えられた365日のために。

年末に岡谷市の本屋で、宮本常一の文庫「海に生きる人びと」を買った。バルセロナでボートに出会ってから忘れられなくて、いつか自分でつくるぞ、と企み、家を改修することにした。その計画通り、舟が近づいてきた。

木曽川レガッタの体験があることを知って申し込みしてみることにした。その話をチフミにしていると、チフミの父が「諏訪湖にてづくりカヌーの会があるぞ。」と教えてくれたので、早速、問い合せた。

舟に注目するのは、バルセロナで出会ったアイルランドのボート、カラックだけでなく、文化人類学的なアプローチからだ。
生きる芸術から発展した生活芸術を探求する道として、海や川と共に生きた人間の足跡を発掘してみたい。
例えば、いま暮らす津島市も500年前には、ヴェニスのような街だった。昭和の初期まで人は舟で川を渡って生活していた。そもそも日本は島国で海に囲まれている。ところが教科書的な歴史は、日本人を農耕民族だと教えてくれる。
現在では、ほとんど舟をつかった生活は営まれていない。暮らしを研究するものとして、舟と暮らしは発掘するに値する研究テーマになる。

古い家を直して、ライフスタイルを開拓して、生業をつくり、次の冒険の準備をする。山や前人未到の地でなくても、ぼくらは日常の延長線上に新たなレイヤーを見出したり、埋もれたレイヤーを発掘したりして冒険することができる。
冒険とは、失敗するか成功するかも分からない、しかし、やらずにはいられない領域に自ら足を踏み入れて、探索して帰ってくることを指す。

さてさて、2016年それこそ、自分でも想像しなかった生活スタイルになってきた。
こうやって自分で生きる道をつくることが生きる芸術なんだと思う。

夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/