いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

ひとが諦めたことを考えて成功させること。

家主ことMr.Kevinが津島の長屋に来た。溢れるアイディアを抱えて。趣味は「ひとが諦めたことを考えて成功させること。」
今回のミッションは、家の傾きを直す「よろび起こし」をやるためだ。ジャッキアップと足場サポートと荷締機を駆使して。

Mr.Kevinは「家」に関する様々を業者が握って明らかにされない状況に異を唱えている。特に築50年以上の物件は、木造建築で単純な方法で自然素材で、特殊な材料や道具を使っていないから、誰でもやれるというのがMr.Kevinの説。自説を証明するためにも、今回の「よろびお越し」は重要な課題だ。

Mr.Kevinがくるまでは屋根を修理していた。「全部直すしかない」と言われてきたが、一部分だけ直す方法がネットにアップされていた。長屋は1階建てだからサイズ的に手が届くし、初めての自分にとっては勉強になる。毎日、新しいことに挑戦している。

屋根を剥がれると空が見え、室内が明るくなった。現状の経過をMr.Kevinに報告すると、すぐ「天窓をつけよう。」と返事があった。

すぐ仕事に取り掛かった。

長屋の屋根瓦はコンクリート瓦で、しかもひとつひとつが釘で打ってあった。しかし途中からの改修では、釘で打ち直すことができなかった。いまは瓦が乗っているだけの状態。これでどれだけの強度があるのか、台風のシーズンも過ぎたので、ひと冬越してみるしかない。人間はこうやって1年の四季を指折り数えて生きてきたんだろう。新しくつくった屋根は古い部屋を新しい光で照らしている。

何だってやってみなければわからない。

Mr.Kevinは、狭いデッキテラスのスペースを見て、思いがけない発想をした。「ここを露天風呂にしよう。」

ここは、やりたいことを実現するモデルハウス。つまり実験室。「家」という空間を自由に発想して存分に楽しもう。

夕方には、入居を検討しているひとたちが遊びに来て、お茶をして夢を語り合った。
「夢を見れる場所。」と誰かが言うと
「ここは、夢を見るだけじゃないよ。それを現実にする場所だよ。」
と誰かが答えた。

夢の生活が続いている。まだ始まったばかり。

 
夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/