いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

やりたいことはあっても、どうやってやればいいのかを知らない。だから、やってみる。最初は分からないことも2度目は簡単なことだった。

おはよう。世界の片隅で小さく生きる檻之汰鷲です。

昨日チフミが実家の片付けを中断して東京の家に戻ってきた。目的は、クライミングジムの看板をつくるため。
新宿駅から徒歩5分の立地にあるボルダリング・ジムには看板がない。路面に出す立看板はあるけど、2階にあるジムの窓にホールドをつけて、人が登っている様子を看板にしようという企みだ。

やりたいことはあっても、どうやってやればいいのかを知らない。だから、やってみる。まず、どうやって人のカタチをつくるのか、そこからのスタートだった。チフミがボルダリングのマットを使ったらどうか、と言った。
わが家には、ボルダリングジムをやるための材料がまるごと保管されている。愛知県でプライベートウォールをつくる計画だったものだ。

ボルダリングのマットの上で横になったチフミのカタチをトレースしてノコギリでマットを切っていく。思ったより簡単に切れる。マットは厚さが30cmあるので、半分にスライスして2体分つくれることになった。マットに針金を入れて、それで自由なカタチに動くと計画していたが、マットの反動の方が強くて、思ったようにはならなかった。

どうやってポーズを固定するのか。両手両足を切って、身体と頭の5つのパーツにして、それぞれを削った。洋服を着れるサイズまで小さくして、袖を通してみると、マットの材質とパーカーの布が引っかかってしまう。結局、身体のポーズをつくるのと、服を着易くするために、ガムテープで固定して手足に巻きつけることにした。

ポーズをつけて服を着せると完成だった。スライスしたもう半分の塊を見て、作業する気が失せた。どうしよう。ジムのオーナーは、2体欲しい、と言っていた。

マットを削るとカスが出てくるので、その度に掃除をするのが面倒だからと、作業を続行することにした。ネガティブな理由でポジティブを生み出す。再び、身体の5つのパーツを削り出しをやり始めると、作業は至ってスムースだった。最初は分からないことも2度目は簡単なことだった。2体目をつくっていなかったら、いくつもの知る機会を失っていた。いつだったかテレビで休憩を入れると集中力が途切れるので、休まずにつづけた方がいい、と言っていたのを思い出した。

通っていたボルダリングジムのプロモーション仕事を請けてから1週間、試行錯誤で行動して、とにかくジムのオーナーに喜んでもらう仕事がしたい。そういう気持ちで取り組める働き方、それを何と呼ぼうか。必要とされるところに仕事が生まれる。人と人の間にある仕事のカタチ。お金を稼ぎ出すためだけの仕組みではない。きっと本来は、仕事とはこうだったんだろう。

やってみれば、どうすればできるのかそれがわかる。それがわかれば2度目は簡単なこと。それを伝えることができれば、社会をもっと単純に動かすことができる。今日もネバーギブアップでいこう。

 

夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/

生きる芸術のための生活者
石渡のりお
norioishiwata@gmail.com