いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

人のつくる社会のなかで、何をしてどのように活動していくかのシミュレーションゲーム

土曜日に岡谷から東京に戻り、株式会社サイボウズが主催するフューチャーセッションの3回目に参加した。

どのグループも社会問題を解決するために、さまざまな用語を駆使してその画を描いていた。しかし、その画には登場人物が不在で誰がどうするという行動の描写が欠落していた。

自分も含めて参加者たちは、実行へとステップさせる難しさを感じた。これは、社会問題を解決する次世代のリーダーをつくるプログラムで、アートという視点から参加して欲しいと誘ってもらった。第2回は、祖母の見舞いで逃してしまい、解決したい社会問題は提案され、いくつかのグループが出来上がっていたので、GOMI cafe という「余っているものを再利用する」取り組みに参加することになった。テーマは、ヒト・モノ・コトのネットワークを日本全国に広げるような話しになった。

夕方にセッションは終わり、その後の懇親会に参加した。同じテーブルには継続できなくなったアスリートのセカンドキャリアについて取り組む青山くんがいた。
アスリートと言ってもピンキリで有名な選手はアナウンサーやタレントやビジネスで成功するが、そうでない人は、キャリアが終わると未来が白紙になってしまう。青山くんは、ちょうど、引退後のキャリアについて悩むJリーグの河内選手と出会ったところだった。彼をサポートしたい、という。

すぐにストーリーが浮かんだ。河内選手がセカンド・キャリアを掴む物語。この時代、移り変わりは早く、すぐに状況は変わる。ひとつの仕事をいつまで続けられるのか誰も分からない。不安定な社会のなかで、有望としか思えないスポーツ選手ですら、将来について悩んでいる。そのひとりである河内選手がどのようにセカンド・キャリアを掴むのか。

まず前列をつくる。そのアイディアを伝えると予想外に喜んでくれた。話しの流れで、このチームにも参加することになった。

フューチャーセッションというプログラムの意義が見えてきた。
対話すること。
継続すること。
突破すること。
この3つを実践するゲームだ。

GOMI cafeチームは実践のカタチが見えずに、モチベーションが見出せない。でも、話す相手がいる限り対話を続ければ、想いは未来に繋げていくことができる。例えば、最後のひとりになってもやる覚悟と情熱さえあれば、プログラムを完成させることができる。またそうでなくとも、既存のチームのなかに自分の役割を見出して、その価値を発掘してみることもできる。人のつくる社会のなかで、何をしてどのように活動していくかのシミュレーションゲームなんだ、と理解した。

ぼくには空き家問題についての取り組みがフューチャーセッションの何かにリンクするのでないかと睨んでいる。まだ明確な接点はみえないけどきっとあるはずだ。


夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/

生きる芸術のための生活者
石渡のりお
norioishiwata@gmail.com