いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

暮らしを芸術にするためのプロジェクトが始まる

昨日、空村のミーティングがあった。2月末の見学ツアーを終えて一段落した。4月から引っ越して、津島での生活が始まる。家を直しながら生活して木工に親しみ、その技術でボートをつくる計画だ。

空村を運営する芸術家の村の柚木さんは、空村となる空き家を引き受けることにした。人生の大きな決断をした。そこに自分は立ち会った。挑戦していく仲間として一緒に未来をつくり完成させたい。

そのためには、長いスパンでも目標の設定が必要だ。緩やかに舵を取りながら計画を描く。10年後に大きな山を登り終えた感動をつくりたい。ぼくは50歳になっている。考えていることを遠慮なく相手に投げることだ。ぶつかることを恐れるより、アイディアを投げて取っ組み合いながらでも、考えを共有し磨いていくことが重要だ。

空村プロジェクトの建築家、米澤さんとプランのやり取りをしている。現状からステップを重ねて、イメージをキャッチボールして作り上げている。このイメージをカタチにするのが自分だということが、自覚を高めて、計画に責任が生れてくる。自分のサイズを再確認できる。
1)土間をつくる
2)収納をつくる
3)ロフトをつくる
4)風呂をつくる
この4点が計画の軸になりそうだ。その他、細かいところは、生活しながら装飾を施していくポイントになる。いま参考になるがウィリアム・モリスだ。

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人間は、真剣に考えたり想像したりする時間を、そればかりか夢を見る時間さえ持たねばならない。そうしなければ、人類は必ずや悪い方向に進むだろう。
日々使う品々の質、生活環境の質、労働の質、それはすべての人間が生を享け、生を全うする時間。職業を問わず、階級を問わず、人間の尊厳と生活が守られる社会を要求するべきだ。
そのモリスがつくり出す造形は、贅沢とは無縁の「美」と「芸術」だった。

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モリスのやり方に学ぶなら、ぼくはゆっくり時間をかけて、暮らしをつくり上げるべきだ。便利を受け入れ、過去を掘り起こし現在をつくり続ける。生きる芸術とは、生涯を賭けて取り組むことだ。だとしたら、「できない」「大変」と言われることに挑戦していきたい。空き家を壊して材を取ること。最終的に空き家を壊して更地にするのであれば、そこを目指して実践したい。やりたいことがすべてやれる環境が手に入った。
空村をカタチにすることが、ぼくにとっての作品で、これこそまさに社会彫刻だ。まずは、一年、次の一年と積み重ねていくことだ。

 

夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/

生きる芸術のための生活者
石渡のりお
norioishiwata@gmail.com