旅するアート/滞在制作はアスリート。

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バリ島で滞在制作している。旅しながらアート制作する醍醐味は、制限があることだ。時間も限られているし、できることも限られている。材料も手法も。その中で、何をどう表現するのか。まさに限られた中で模索していく。

今回の旅は、ツトム氏のナビゲートで、サーフィンを体験している。自分がやるのもそうだし、サーフィンをする人々や環境、文化そのものを体験している。だから、作品は海を中心にサーフィンをテーマにしたものになっている。

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旅の前半は、なんでも興味あるものを写真に撮って題材を探しながら、いくつかスケッチしてみる。採用するか分からないけれど、スケッチを増やしていく。

同時に材料も手探りで見つけていく。今回は、粘土を発見した。まだ、稚拙なレベルだけれど、粘土という素材に出会った。売っているものではなく、大地から採取する天然素材だ。これは日本で制作してきたなかで、何がもっとも美しい素材かを考えて、得た答えだった。

土は美しい。その土を焼く火も美しい。土を捏ねる水も美しい。自然のエレメントを最大限に利用した土器を今後の制作に取り入れていきたかったから、粘土の発見は大収穫だった。

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滞在制作を繰り返すうちに、学んだことがある。道具は日本が一番揃っている。だから、基本的なものは、日本から運んでくる。筆や絵の具、キャンバス、ノコギリ、鑿、玄翁、彫刻刀、筆記用具、定規など。

今回はチフミが選んで持ってきたキャンバスに絵を描くことになった。持ち運べる荷物のサイズに制限された結果、200cm×60cmの海の絵を描くことになった。サーフィンで見てきた波の絵。まだキャンバスしかないので、枠を組み立てる必要がある。現地のホームセンターで材料を調達する。バリ島なので、英語が通じなかったりして、それで現地の言葉を覚える必要もでてくる。言語もまた制限される。


なんでもかんでも制限されて、ミニマル化する。最小限の状況で、最大限の可能性を引き出す。これが、滞在制作の魅力だ。人によってその楽しみは違うだろうけど、歴史を見れば、数多くの画家が旅をしている。その文脈で、滞在制作というジャンルを語ることもできる。個人的には、アスリート的な文脈で語る誘惑に駆られている。サーフィンもそうだし、登山やクライミングなど、自分が体験してきたスポーツにも、最小限の装備で自然に対峙して最大限パフォーマンスを発揮する、これが「アート」だと言いたい誘惑に駆られている。もちろん、これは今までの文脈とは異なるアートだということは分かっている。だからこそ、言葉を費やしてみたい。

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旅するアート/アスリート。これはしばらく掘れそうだ。