いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

夢が叶った日だった

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朝目が覚めて、カヌーをクルマに載せて海に行った。波は穏やかで、まだ朝の7時前。以前にみつけたアジの泳ぐスポットに向かってカヌーを漕ぐ。海の上を走る。カヌーのうえで、仕掛けを用意して、、、いるうちにポイントから流されている。また漕いで戻って、糸を垂れる。反応がなければ場所を変えて、また同じことを繰り返す。ヒット!1匹釣れれば、あとは連発。7匹釣って餌が終了。カヌーを漕いで浜に戻る。

浜でこちらの様子を見ている人がいる。なんだろう。カヌーを海から引き上げて担いでクルマへ運んでいると

「おお手作りのカヌーなんですね!」

そうやって会話が始まった。
いわき市に住んでいる鯨岡さんは、去年からカヌーの海釣りをしている。釣りが好き過ぎてついに海に出てしまったそうだ。せっかくなので鯨岡さんに他に釣れそうな魚を教えてもらった。いまの時期だとヒラメ、ブリ、アジだそうだ。アジを餌に釣れるらしい。

ぼくは舟を作って海で遊びたくて、空き家改修をやるようになって、3年間その取り組みをしてきた。もう夢は叶っていた。この3年間のことを一冊の本に書いて、出版社に提出した。ぼくは人生そのものを記録して、出版し続けようと考えている。一冊目の本の出版社を探して回っていたとき、ある出版社の方が

「他にもこういう本はあるなという感じですけど、石渡さんがこの本をシリーズ化して、少年ジャンプみたいに続けたら、他にないユニークな本になると思います」
とアドバイスをくれた。ぼくはそれをやっている。

今年は畑が全然収穫できなかった。もっと簡単だと甘く考えていた。失敗の原因は、肥料を少ししか入れなかったこと。畑を貸してくれたミツコさんが親切に肥料まで用意してくれたのに。

いろいろな本を読んだりネットで調べて、どうやら土が重要だと分かった。さも発見かのようにチフミに話したら「そんなことは分かってるけど」と。失敗したときは、畑を耕していたけれど、何のためにやっているのか分かっていなかったのも敗因だと思う。なので、今朝は心機一転、心を込めて畑を耕しに行った。鍬で深く掘って、周りの雑草を抜いて土に混ぜた。それをやったら、まるでジムに行ったほど汗をかいた。いい運動だ。

9月に入ってから絵の制作が捗っている。涼しくなって海へ行きたい気持ちが落ち着いて、夏に遊んだ長浜海岸の絵を描いている。ぼくたちは夫婦で絵を描いているから経験したことが作品になる。

絵を描いて、魚を捕ったり、野菜を育てたりして、失敗もあるけれど、生活を作ることは幸福への近道だと思う。昨日はミツコさんが、裏の川でカニが獲れると教えてくれた。自然が近くにあると食べる物が身の回りにある。次の本は定住して、食べ物を自給しながら、アート活動する夫婦の話になりそうだ。自分のやっていることを文章にして俯瞰してみると、何をしたらいいのか、自ずと道が見えてくる。

気が付けば、北茨城市の揚枝方という集落にギャラリー&アトリエで滞在制作もできる古民家がある。身の回りの環境や資源を最大限に活用することが、生きていく基盤になる。遠くても不便でも、この場所が素晴らしいのだから、ここにわざわざ人が訪れるような環境をつくることが、自然と人間と暮らしのアート、生活芸術なんだと思う。