いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

One of these days 38

5月7日月曜日
朝、依頼されている作品をつくるためにArigateeにいく。いまペンギンのカップルをつくっている。作品をつくる。欲しい人がいる。売れる。それを資本にアート活動をする。イメージを獲ってカタチにする生産活動は、社会のなかで、農業や漁業に通じる、もしくは、もっと古い狩猟採取に通じる、とてもシンプルな経済活動になる。

一昨日に頂いた素麺を昼に食べる。庭に植えたネギを刻んで入れる。大地があれば、野菜を植えることができる。生活に必要なをおカネ減らす。減らした分、必要なところに費やすおカネを増やす。いらないものに手を出さない。

夕方。「だいすき常陸というフリーペーパーを編集する鈴木トシカズさんが雑誌を持ってきてくれる。先月ぼくたちを取材して掲載してくれた。トシカズさんは、20代にはサンフランシスコに住んでいた話題の尽きない人物。庭に植えたネギもトシカズさんがくれた。

今日は界隈の温泉情報を提供してくれた。とくにArigateeのさらに奥にある小川という地区を越えて福島に入ったところのゆじまた温泉がよさそうだった。温泉のよい悪いのポイントととして料金がある。高いところは面白くない。安いところは設備が悪い代わりお湯がいい。安くても残っているには理由がある。

北茨城も自然豊かな場所だし、お隣の福島も魅力的な場所。東京に住んでいたとき、原発事故や放射能についてネットの記事を読んで怯えていたけれど、住んでみればまったく違う景色になる。人が暮らしを営んでいる。実際に生きている。それに対して外から何かいえる言葉はない。

トシカズさんと話すと興味あることを地域の話題で返してくれる。天心丸という巨大な海鮮丼を提供するお店は、岡倉天心の船頭をした家のお店らしい。自分の船で漁をして魚を出しているから新鮮そのもの。海鮮丼は巨大で食べ切れないので刺身定食を注文してみようと思う。でもここの海鮮丼は事件だからおススメできる。

夜。家に帰ってペンギンの作業を続ける。アメリカのボストンで友達とnetflixを観たのをきっかけに英語の勉強になると、英語字幕で"Black Mirror"を観ている。どのエピソードも近未来のホラー。最近は知らない単語を調べるようになった。以前は知らないことが多過ぎて蓋をしていた。知らないことを知るのは小さな冒険。ニューヨークマガジンの「地球に住めなくなる」という記事を英語で読んでみた。

6月に予定していた個展が延期になったメールが届く。会場の都合。7月の中旬でリスケジュールの返事をする。制作できる期間が延びたので、じっくりいい作品をつくりたい。


朝起きたとき1日はまだ真っ白。大地を耕して種を蒔くように、自分の未来に必要なことを少しずつ時間をみつけて行動していく。イスラム教徒の友達を思い出す。彼らは一日に5回礼拝する。もし、一日に5回好きなことに取り組む時間を持てば、それはカタチになる。1000時間の法則というのがある。それだけの時間を費やせば、プロになるという説。

夫婦芸術家
檻之太鷲(おりのたわし)

http://orinotawashi.com/