いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

One of these days 27

4月25日水

雨。
8時に起きる。
昨日やった北茨城市から依頼のデザイン案をメールする。ネット環境があれば場所を問わず繋がることができる。便利。

パンを食べてDNAギャラリーへ。去年の秋に友達マークレディンが、ここに滞在して気に入り、春に再び滞在することにした。オフシーズンで空いているので、ギャラリーオーナーも承諾してくれ、場所をシェアしたらいいと思いついたマークが、ぼくに連絡をくれ誘ってくれた。

それだけの理由で、ぼくはボストンのプロンビンスタウンに来た。けれども、たったひとつでも理由があれば、動く価値がある。滞在しているアパートは、マークがairbnbでみつけて、自分の作品と交換で、家賃を値下げしてくれた。アート作品はそのまま貨幣にもなる。

アパートからスタジオまで自転車で5分。スタジオに入れば、昨日まで手をつけていた作品がある。すぐにやりたいことが湧いてきて作業する。

森で鳴いている鳥の声がする。カーディナルという赤い鳥は、ユニークな声でさえずる。カーディナルを絵にする。

いつも新しい方法に少しだけ挑戦する。できるだけシンプルな方法でつくりたい。

プロンビンス・タウンに来て、毎日絵を描いて、新しい作品の手法をみつけた。水平線。地平線。線。カタチとカタチを切り分ける線。空を切り分ける家のカタチ。線をみつめると目が離せない。直線が美しい。

マークがプロンビンス・タウンの美術館に作品を納品しようと提案してくれる。美術館の会員になると、作品が展示されるらしい。50ドルかかるけど、プロフィールに書けるからプラスだとマークが言う。

アートは価値をつくるゲーム。ボストンの美術館に作品が並んでいると言えば、驚くひとや評価するひとはいる。もっとも根っこの部分では、絵をみたひとが楽しんでくれること。価値を感じてくれたり、欲しいと買ってくれる単純な商売としての楽しさがある。

アートを愛する理由は独立できること。作品が世界で通用する価値を持てば、ぼくは世界中何処にでもいける可能性がある。そうすれば国と国が争う、憎しみや悲しみから自由でいられるかもしれない。相手との距離を調整できること。それが自由だと思う。アートは、国や人種を超えて理解し合えるツールでもある。

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