いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

「つくる」は誰のためでもなく自分のため。だから1日のなかに空白の時間が必要。純粋な創造空間を求む。

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朝は集中できる。庭から木を取ってきて、パピエマシェの材料にする。木は動物をつくる骨になる。

6月から入居者が決まったルミエール実験住宅に家主の水谷さんが作業に来るので会いに行った。9月に水谷さんとアーティストの高畠愛子さんが実施するアーティストインレジデンスの進捗などを話す。

帰り道、今日打ち合わせする予定だった大工の棟梁の山口さんと偶然会った。相談したかったことを話せた。

ルミエールには価値が生まれている。何もしていない部屋でも、利用者がみつかる。価値は与えるものではなく、発見や発明することなのかもしれない。午後には新たに見学者が来るらしい。

免許の住所変更をして、八百屋で野菜を買って、簡単な昼飯を食べて、午後の打ち合わせに出かけた。

大工の山口さんに、ルミエールの屋根裏に中空ポリカーボネイトを施工してもらう相談の仲介役。水谷さんのやりたいことを実現するアシスト。町屋の家主の日栄さんも合流。山口さんは仕事をしてくれることになり、日栄さん宅の相談へ。

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日栄さんの家は、江戸時代に建てられたかもしれないほど古く、簡単には改修はできない。71歳の大工の棟梁山口さんは、あちこち見ては、あれはなんだと教えてくれた。
山口さんには記憶がある。ぼくには知識も記憶もない。山口さんは、それが何だか知っているから、直すことができる。古い家は、直すことを前提につくられている。しかし、もう直せる人間があまりいない。だから、ぼくはその技術を習得したい。セコい人間だから、簡単に手に入れたい。
その想いがワークショップ「リノベ塾」になった。これまでに床張り、土壁、ソーラーパネルの発電を開催してきた。家を直すための企画だったが、考えてみれば、それは技術を習得するためでジャンルは問わない。もっと言えば、リノベーションするのは自分自身で、技を手に入れるイベントだ。

だから、ワークショップで大工の棟梁山口さんの技術を学びたいと企んでいる。

夜は日栄さんと家をどのように活用していくか話し合った。家の問題は複雑で少しでも役に立ちたいと思う。
日栄さんに何がモチベーションなのか質問された。
「家は自分で直せるし完全に修理する必要もない。お金がなくたって、なんとか使える道具であることを伝えたい。簡単に言えば、古い家が面白いから。」

23時頃からパピエマシェの作業を再開して、ようやくクジラの形が見えてきた。明日は、旧らく楽家具屋の雨戸を直しにいく。生活が創作で遊びが仕事。お金は時間だ。

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夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/