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経験や知見が積み重なって出来事を追いきれない。日々可能性を積み上げては、書き記す棚卸しのメモ

バルセロナで友達になったマークが白鯨を読んでいて、チフミが鯨の絵を描きたいというので、白鯨を読むことにした。読んでみると翻訳がよく、1800年代の小説なのに現代にも通じ、おまけに破天荒で痛快な物語。ぼくが小説の最高傑作だと考えていたヴォルテールの「カンディード」に並ぶ勢いだ。

知らないことがあるなんて素晴らしい
白鯨について調べると、サマセットモームの世界の十大小説なるセレクションに出会った。このほとんどを読んでいない。トルストイ戦争と平和」、ドフトエスキーのカラマーゾフの兄弟」、スタンダール「赤と黒」、「嵐が丘」、「白鯨」、「トムジョーンズ」など。選定の基準は、楽しく誰もが読めること。キャラクターが生きていること。などが挙げられていた。
黒澤明は、文学や名作に触れるのはひとりの人生では体験しきれない、世界の広さを学ぶためだ。と書いていた。読むべき本がたくさんあって正直に嬉しい。この世界を学ぶチャンスにまだまだ恵まれていという証拠だ。

カウンターパンチを喰らい目が覚めた話
ザンビアで家を建ててから、空き家に注目して家をテーマに活動するようになり、時代のニーズに沿った社会彫刻ができそうだ。しかし、ぼくにはビジネスセンスが欠陥していることがわかった。足りないモノが分かれば、あとはそこを補強すればいい。金メダル選手はインタビューで「弱い部分を徹底的に鍛えた」と言っていた。

「日本全国にある空き家を巡って旅をしたい。大家さんをサポートして使えていない場所を活用するんです。」と自己紹介をしたら
「言ってる意味がわからない。ビジネス的に説明してくれ。」と言われた。それは強烈なカウンターパンチでノックアウトされた。

この社会は経済で回っている。いくら綺麗事を並べても、マネーゲームという競技は至ってシンプルなスポーツだ。どれだけニーズを作り出すのか。そのニーズにどれだけの価値を与えることができるのか。技術点、芸術点、いずれを問わずその金額で評価される。

別のタイミングで「ビジネス的な説明とはストーリーのことです。何をどうしたら、どうなるのかを明らかにすることですよ。」と教えてくれた人がいた。まったく接点のない別のコミュニティーに参加すると、自分は無名のそこにいるだけの存在で、言葉で説明した範囲だけの人間像になる。その姿こそが自分そのものだ。

それでも負けずに夢を語る
ぼくは人の役に立つことで経済が生まれることを実証したい。ビジネスという既存の仕組みに当てはめなくても、人と人の間に小さな社会が成り立つことを。お互いがそのように理解すれば、お金は循環することを。

絵をつくることと経済をつくることはまったく別の作業だが、つくるという点では同じ地平にある。すてにあるやり方ではなく、そのものをつくる行為に興味がある。

D.I.Yとは木を切ったりすることではなく、なんでも自分でやってみることだ。
津島の長屋のオーナーは、耐震構造のD.I.Yの研究を始めている。これまでは、専門家の手を借りなければできなかったことを、誰もが古い家の構造を補強できる夢のような技術だ。

オーナーは何年も築80年の長屋を活用する方法を模索して、ようやく自分でやるしかないという地点に立った。ほとんどの人は、そこに至る途中で諦めてしまう。

既にある方法やシステムのなかでゲームを始めるのもいい。でもその圏外で新しいカードをつくりゲームに参加する方法もある。最期の切り札をつくりルールを変えてしまう技だ。
考えて挑戦して失敗して、また考えて諦めずに登り続ければ、やがて前人未到の頂が見える。それがイノベーションだ。

つくっては壊しつくっては壊し、つくった左手が右手に壊し方を教える
こうしている間に可能性は書き換えられて、未来予想図は変わっていく。それは種を撒いたからだ。

しかし、ぼくはここにいて、どんな未来が見えたとしても何処にいても、どこかの遠い未来や可能性は、当たり前の日常になって現れるまでは、ぼくの現実ではない。

水を両手で掬えば、指の隙間から零れ落ちるように、また新しい夢を見て次の頂を目指す。何度も何度も。



夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/