いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

師とヴィジョンと友達が人生の3つの宝。これから出会う友達のために。

f:id:norioishiwata:20150507100135j:plain

夢をみた。どうにもうまくいかない状況で、もっとよくするために、部屋をひとつ借りたが、結局必要ないことに気がついた。目が覚めて、物事を好転させるために、何かをプラスする解決方法をやめることにした。


仕事をつくりたい。どうしたら自分の好きなことを仕事に変えることができるのか。ひとつはつくった作品を売ること。でも、それは必ずしも売ることだけが目的ではない。作品づくりという純粋な創造行為を通じて思考する場でもある。そこでコラージュがセレンディピティであることを発見した。次は空き家をテーマに生業をつくり出したい。半年間取り組みをしてきて、ようやく実践の糸口を掴みつつある。

嫁の実家、岡谷に向かう途中のバスで、宮本常一の「生きていく民俗」を読んだ。日本でどのように職業が成り立つようになったかが書いてある。
かつての日本は農民が主体で、自ら生産したもので生活する自給自足を誇りにしていた。家を持つことは、その自立の証で、誰もが自分の家を持ちたいと考えていた。いまもその名残りがぼくらの生活に影響している。その家をつくることは、それほど難しくなく、村単位で皆が協力して家を建てていた。嫁の実家で80歳の老人と話したときに、家にロープをかけて解体したエピソードを聞いた。
また津島のH邸は100年前の古民家で台風などで、屋根が壊れるのはしょっちゅうで、それを修理しながら暮らしてきたという。家とはかつて、個人の手に負える存在だったことが分かる。

だから、自分の手に負える範囲を明確にして、必要以上のお金を稼ごうとしなければ、人と人の間にある小さな仕事が生業になると考える。それは誰もができる程度のことで、必要とされ応えるところに仕事が発生し、依頼主のニーズを満たすところに対価が生じる。それを実践するために空き家を巡る冒険を計画している。空き家との出会いによって日本全国を巡り、そこに暮らす人々に出会う。そこにはまだ出会っていない友達がいる。友達はいつも約束することなく目の前に現れる。いくつもの出会いが重なって、ネットワークが交易圏になる。ぼくたち夫婦が死んだ後、作品が、至る所に発見されたらいい。かつての放浪芸術家たちの仕事のように。

f:id:norioishiwata:20150507100159j:plain


2年前に滞在して出会ったザンビアの友達からメールが来た。滞在したムナンディアートビレッジの今の様子を送ってくれた。ぼくがザンビアで建てた家も映っていた。接点を持った場所や人との交流が続くのが嬉しい。ザンビアの友達が仲間のように考えてくれるのが嬉しい。海外と同じように日本中に共感する仲間が増えるのが嬉しい。そうやって生活圏の地図を広げて未来を変えていきたい。空き家を冒険して、いくつもの拠点をつくり海外の友達を日本に招待したい。個人がボーダーを超えて社会を変えればいい。


来週はバルセロナの友達の個展にいく。大好きになったボート、アイルランドの伝統的な舟カラックに乗る。カラックをつくる方法をいつか習いたいと思っている。ぼくはマークレディンというボートをつくる、このアーティストが好きだ。作品も人間も。だから日本にいつか紹介したい。そのためにぼくはメディアにならなければならない。

f:id:norioishiwata:20150507102423j:plain

Mark Redden to the fishermen of Senegal, oil on canvas, 143 x 76 cm
ある芸術祭に企画案を提出している。ぼくが旅をしたときに出会ったアーティストを日本に呼んでコラボレーションする企画。イマジン・プロジェクト。国境も天国もない。ただ大地がありぼくらは生きている。国家、宗教も言語も超えて4組のアーティストが空き家に暮らし作品をつくる。これも夢のひとつ。

昨日の夜、チフミの実家で録画してあった忌野清志郎トランジスタラジオという番組をみた。
ぼくは、10代のころから音楽が好きで、音楽にはメッセージがあって、ずっと勇気をもらってきた。清志郎の番組を通じて、ずっと聴いてきた音楽のことや10代のころを想い出して涙が出た。ずっとやりたいことがあって、最近ようやくそれらを表現できるようになってきた。番組の最後に夢を諦めない、とメッセージがあって、自分はもう40歳なのにまだまだこれからが楽しみで心が熱くなった。

きっかけは何だって、この先はどうするつもりなのか、そっちの方は危ないとか言われても、愛する人がいて自分の気持ちに素直になれて情熱さえあれば、生きるのは楽しい。想いを貫くのは難しくても、それ自体はほんとうにシンプルなこと。

いまは
ここいる
過去と未来は
いろんな場所に繋がって
地球という惑星のうえ
人間はあちこちに暮らしている
自分はほんの
ひとつの点でしかない
でもその点が
国も宗教も
年齢も時代も
言語も超えて
繋がっていけば
時代は変わる
変わらなくても
繋がるぼくたちは
変わっていく
ぼくたちが変われば
繋がる未来も
変わっていく


--------------------------
夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/
生きる芸術のための生活者
石渡のりお
norioishiwata@gmail.com