いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

いまいる場所から遠くを眺める

エジプトからアーティストインレジデンスで東京に滞在しているアラムに会った。アラムが東京の日常的なカルチャーを知りたいと言うので、友達のライブに誘った。外国人と一緒にいると、俯瞰した目線で東京を見れて新鮮になる。

アラムは6月に個展をやる予定で、その費用をどうにかつくりたい、と考えている。エジプト大使館への相談を提案したが、強く拒否した。エジプト政府には何の期待もなく、むしろ不信感しかなかった。それは自分には計り知れない感情だった。

アラムは自分の作品をお金にする仕組みを考えないで、アートプロジェクトとして助成金を常に狙っている。彼の生活は、メダラというアートメディアの運営スタッフの僅かな給料で支えているらしい。

アラムに6月に日本に来る方法を一緒に考える約束をした。個人レベルで国境や人種を超えて交流していかなければ、地球という単位がみえてこない。日本に暮らしてそのサイズに収まってしまえば、その範囲でしか思考できない。身体感覚として常に世界を感じていたい。

作品をつくりながら生きていくと決めているものの、それ以外の活動で散漫になっている気がする。やりたいことをやればいいが、その整理も必要。津島への引越しを機にもっと身軽になれば、視界がずっと開ける気がする。「つくる」ということを突き詰めて、世界へと広げていきたい。もっともっと単純になりたい。

 

夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/

生きる芸術のための生活者
石渡のりお
norioishiwata@gmail.com