いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

自分を信じて人生をつくること

夢だった。死んだ友達とキャンプに行って、最近の出来事を話した。はっと目が覚めて、涙がたくさん出た。悲しかったというより嬉しかった。

ぼくは、生きている実感がなくなることがある。どうなるか分からない方に道を選らんで進むうちに、この人生も夢なんじゃないか、と。

午後からボルダリングジムにいった。もう始めて4年近く経つので、それなりのレベルになっているはずがそうでもない。が、目標に向かってルートをみつけて登っていくボルダリングが大好きだ。

夕方から高円寺のAMP Cafeに展示の相談をしにいった。旅から帰国して課題だったギャラリーをみつけるために。
AMPを運営する大黒くんとは旅から戻ってすぐに、友達が家を建てる手伝いにいったときに知り合った。作家が発表する機会をプロデュースしている大黒くんから、秋にグループ展に参加しないか、と誘いがあって思い出した。

1)アトリエをつくる。
2)本を出版する。
3)展示をする。
去年の6月にこの目標を立て3つ目の展示だけが未だ動けていなかった。ネットでギャラリーを検索してリストをつくったりしていたが、営業にいく気にならなかった。忘れていた。天然素材にこそ価値があることを。

共通の友達から出会ったので興味の方向が一致していた。しかも2拠点居住を考えているらしく、空村に興味を持ってくれ住むことも視野に入れて遊びにいく、という話しになった。

大黒くんは、高円寺のAMPCafeをマネージメントしながらアートを展開しようとしているプレイヤーだ。展示や地域との取り組み、海外からアーティストを受け入れ個展を企画したり。

ぼくは本を秋に出版する予定があり、それに併せて個展をやろう、と一致した。やるなら面白いことをとアイディアを出し合った。絵を売ることについても話した。大黒くんは「コレクターが作品を発表する機会をつくりたい、しかもWEB上で売買もできるようにしたい。買った値段より高く」と語った。ほとんど「偽金づくり」のコンセプトに近い。買ってくれた人の作品をより高価に販売して価値を創出したい。貨幣という絶対的な価値のなかで、それだけの金額を受け取る意義は大きい。くだらない消費に抵抗する遊び。おまけに価値が増殖したら、なおさら痛快。価値が増殖する商品。その漢気文化をつくり出したい。

意気投合した気持ちを持ちを新鮮なままに、次のミーティングに繋げたい。「生きる芸術」のサンプル本を貸した大黒くんから、今朝メールが届いていた。

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本読みました!
勇気付けられました。
迷いはつきものですが、信念に対して誠実に進もうと思いました。そして柔軟に学ぼうと思います。この本は完成した哲学ではない。それが僕にとってリアリティがあり、背中を押してくれました。

人生を共有するために文章を使い、それを教科書とすることを、相互に出来たらいいなと思います。僕も書きたくなりました。

のりおくんの暮らしの実験と僕の暮らしの実験が重なる機会を作りたいです。
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大黒くんが寄せてくれた感想が、この本が伝えたいことだった。その答えを貰った。
編集者からの課題、本の「はじめに」を書き足すことのヒントになった。ぼくにはお金はないが、自由にできる時間がある。明日から、この資源を駆使して、生きる芸術をつくるための冒険を始めよう。つまり、あの本のタイトルは、まだ「生きる芸術」ではなかった。
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タイトル:
40歳を前に退職。夫婦、好きなことを仕事に食べていけるのか。

この本は、アート活動をするぼくたち夫婦が、好きなことを仕事にして、生きていくために選らんだ冒険について書いてあります。
冒険と言っても、最高峰の山に登ったわけでも、前人未到の地に足を踏み入れてもないし、なにか未知の領域に触れてもないし、不可能を可能にしたわけでもありません。

ぼくは1974年に、東京に生まれ育って、謂わばなに不自由なくいままで暮らしてきたように思います。それでも、仕事をしてお金を得て、生きていくという意味では、悩んだり逃げたり失敗したり、それなりに困難もありました。それは、ほとんどの人間が感じながら、生きているのではないでしょうか。

この本は、ぼくら夫婦が2013年から1年間、ヨーロッパとアフリカの5カ国を旅した記録です。旅に出る前から書き始めて、ひとつの国を去る毎に書き足していきました。次第に本の展開をつくるために、なにをするべきかと考えるようになり、本が人生のシナリオになっていきました。

それは、まさに自分の人生をつくるという表現でした。旅のなかで、さまざまな国の暮らし方を知るうちに、ひとつの共通点を発見しました。それは、どんな状況でも人は食べていかなければならい、ということです。

ぼくは、40年間、このことに向き合ったことがありませんでした。いまも日本に暮らしている多くの人は、「食べていくこと」について考えることはないかもしれません。
気がついてから、仕事のやり方も変わり、アートに対する考え方も変わりました。現在、ぼくら夫婦は「生きる芸術」というコンセプトで、生活そのものをアートにしようと取り組んでいます。

もし、食べていくことに不安がなくなれば、もっと豊かな人生の選択肢が増えるはずです。ひとりでも多くの人が、その人生を掴み取るためにこの本を贈ります。

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ここに本の「はじめに」のアイディアをメモしておく。

 

夫婦で作品をつくる
コラージュ・アーティスト
檻之汰鷲(おりのたわし)
http://orinotawashi.com/

生きる芸術のための生活者
石渡のりお
norioishiwata@gmail.com