いきるための芸術の記録

荒地と廃墟の楽園より

システムをハッキングして生き延びる技

「俺が死んだらここで焼いてもらいたいな」と炭焼きの師匠は笑いながら言った。死を恐れるよりユーモアで迎える姿勢は痛快だ。誰も彼も彼女もみんないずれは死ぬ。父も母も御子息も。そればかりは逃れようがない。 ぼくはまだ生きてる。朝に目覚めて夜に寝て…

限界は何処だ?

「限界は何処だ」は惜しくも今年解散してしまった日本のハードコアバンドGAUZEの2ndアルバムのタイトルだ。1988に自主制作でリリースされて以来、インディペンデントな姿勢を貫く活動をしてきた稀有なバンドだった。 いま考えるのはまさに「限界について」。…

流れのなかに生きること。

やるべきことが自分の側にあるとき、ぼくは自由でいられる。その代わりにぼくは自由を手放す。例えば朝起きてまずやるべきことがある。ぼくの場合は草刈りだ。朝7時に起きて、そんなことは大したことない。朝食を済ませて、8時に草刈り機のエンジンをかけて…

していることを書くと見えてくる行き先。

おはよう。と朝、目覚める。何ができるだろう。何をしたいだろう。ぼくはメモを取る。大切なことを忘れないために。 昨日は5月1日だ。天気が良くて気持ちよかった。木々や花が喜んでいるようだった。太陽の光が時間によって違って景色を変えていた。景色は光…

生きるために抵抗する。社会という漠然とした全体に対してーそのためのLocation<位置取り>についての考察。

生きる。このシンプルな活動の難しさ。ぼくは生きることに向き合っている。何をしているのですか? 自己紹介で必要とあれば芸術家です。と名乗る。けれども、その中身は生きることをしている。それは仕事ですか? 仕事とは何か。ぼくの場合、こうやって問い…

つくるためにつくらない

日々変わっていく今日を生きている。作品をつくるという課題を自分に与えながら、それでも作品をつくるためにつくらないように。「つくるためにつくらない」とは、作品が発生する環境をつくるという技法へと向かっている。ぼくが発案するものではなく、作品…

10年やれば夢は叶う。だから次の10年を夢見る。

週末、都内でバンドのリハーサルをしてそのあと久しぶりにパーティーに遊びに行った。パーティーというのはシークレットで、むかしフェスの仕事をした先輩や仲間たちが開催しているDJイベント。音響屋さんをやっている先輩の倉庫が移転するということで、そ…

バンド。異なる者たちの共同体

「バンド論」という本に出会った。サカナクションの山口一郎さん、くるりの岸田さん、bonobosの蔡さん、サニーデイサービスの曽我部さん、クロマニヨンズの甲本ヒロトさんのインタビューが掲載されている。文字通りバンドについて語られている。バンドとはロ…

水が流れるように生きる

流れていく時間のなかで生きている。流れる時間のなかで人と自然と関わり生きている。いわゆる社会からは離れている。社会から離れた里山は価値を失いつつある。貨幣価値として。だから、ここにあるものを利用してアートを表現している。アートとは技術であ…

社会を変えられないとしても自分の目の前は変えられる。

表現するということ、何かをつくること、それが大好きで10代から続けてきて、もうすぐ50歳になる。成功もしてないし、何かの途中なのだけれど、結果が出るのは死ぬときだから、その過程に考えたことや、経過を記録しておくのは何かしらか意味がある、と思っ…

生活の抵抗/ガンジー/ブルース/糸車

「みんなの湯に行くよ」と友達から連絡があった。みんなの湯とは北茨城にある温泉でいわゆるお金を払って入湯する施設ではなく、石屋の神永さんが掘り当てた温泉で、諸事情から商売にしないで仲間たちに開放している秘密の場所だ。 掘り当てた温泉は温度が低…

生きるための、すなわち死ぬための芸術論

「哲学とは何か」という問いを立てることができるのは、ひとが老年を迎え、具体的に語るときが到来する晩年をおいて、おそらくほかにあるまい。 ドゥルーズ+ガタリ 母も父も本を書くのが夢だった。学生の頃は小説を書いていた。母はいつか、本をつくるつも…

感覚すること

最近は本をよく読む。本は未だ知らないことを体験させてくれる。教えてくれる。その世界を案内してくれる。本は読むだけでなく実践するもの。そこで得た知見を自分にインストールして行動するもの。そのつもりで哲学や思想の本を読んでいる。行動したことの…

中途半端に生きるなら死んだ方がマシなのか。

朝起きて犬の散歩をした。それだけのことを喜んで歩く姿に対して、なぜ人間はたくさんのことを我慢して、喜びを遠ざけてしまうのだろう。 例えば、朝起きて、ご飯を食べて、また寝る、ただそれだけで一日を過ごすなんてことができないのか。いや、その食べる…

どうすればみんなの人生はもっとよくなるのだろう

信じられないような暮らし方をしている。誰かにそれを話したい。成功している訳ではないけれど不安はなくて、けれども単なる自慢のようでもあるし、これを言葉にしてしまうと、消えてしまうような、ほんの小さな幸せの芽が出ただけのこと。 年始に「アントピ…

ほんとうにやりたいこと。ありますか?

レイモンド・ウィリアムズが指摘したようにそもそも「芸術」の原語artとは、古来、人々の種々の技術や技芸を指す言葉だった。しかし資本主義的商品生産が増大するなかで、モノの使用価値を、金銭的な交換価値に限定したり帰したりする動きが盛んになる。そこ…

どこへ向かうのか。行き先を知るために言葉に表す。

「わたしはなるべく世間から遠ざかるように暮らしているのだが、それでも私なりにいろいろ感じることがあり、世間の人に聞いてほしいと思うこともある」 「春宵十話」岡潔 本が好きだ。いつも何か読んでいる本が手元にあって、機会があれば興味ある本をみつ…

君は地球を感じて生きていますか?

妻の実家で快適な年越しを過ごし、いつもとは違う気持ちで北茨城の我が家に戻ってきた。炬燵に美味しい食事、お酒、テレビもいいけれど、木を割ったり運んだり、水が凍ったり火を焚くような自分の身体を動かしてつくる生活が心地よくなっていることに気がつ…

枯れる花の美しさ

世界に出会い、世界を知り、世界について述べることは、つねに一定の形式にそって生きること、なんらかのスタイルに従って生きることを意味する。世界を知るには、世界のどの段階、どの水準で、どのような形式をもとに世界を眺めようとするのか、その世界を…

考えるな、行動しろ、アイディアを捻り出すな。

水戸での展示の関連企画で、中学生にパピエマシェのワークショップを開催した。展示会場になっている水戸第一中学校の美術部は、設営からガイドボランティアとしても参加してくれている。 パピエマシェは、スペインで滞在制作したときに、トムキャンベルに教…

生活芸術日記

今朝は昨日の日記を英訳することから始めた。英語をもう少し使えるようになりたい。書くこと。話すこと。聞くこと。読むこと。 今日は薪を運ぶと決めていた。山の木を伐ってもみんな処分に困っている。ぼくは薪ストーブと薪風呂があるからむしろ必要としてい…

英訳演習日記

来年は海外と仕事したいので、英語の勉強を再開した。SNSや日記を英作文する。英語の記事を読む。英語字幕でNetflixを観る。あとオンラインの英会話をやれば学習は習慣化する。 朝遅めに起きた。8時。雨が降っているので炭焼きは延期。朝ごはんにトーストと…

自作自演の生活芸術記

展示の搬入を終えて1週間が経った。猛烈に本が読みたくなって図書館へ駆け込んだ。頭の中に読みたい本をイメージして、本の背表紙を眺めて彷徨うのが楽しい。自分の制作の最前線として紙を制作したのでいくつか紙に関連した本を借りた。 「紙二千年の歴史(…

「ここにある- COCONIALISM」檻之汰鷲(おりのたわし)個展

夏頃だった。個展の誘いを貰った。話を聞くと、中学校の空き教室にギャラリーを作って、そこで年に一回作家を招いて展示をしていると言う。とくに興味を惹かれたのが中学生に向けて展示することだった。それからこの水戸第一中学校内の「ひのたてギャラリー…

フェスティバルを作った記録 音ノ森

約1ヶ月間、ここに書くことができないほど動き続けていた。ほんとうに走り続けた。20年前から続いてきたバンドNOINONE主催の野外イベントを11月26-27日に茨城県の城里町で開催した。そして12月5日からの個展に向けて準備してきた。蒔いた種の収穫期が同時に…

アートとは何か。毎日の生活のなかにあるモノ。

妻に人生って何だろうね、と聞かれて答えた。時間が流れていく、その瞬間ごとにしていることだよね。そのしていることが楽しいと感じられるならそれが幸せだよね。 有名になるとか、売れるとか、金持ちになるとか、それとは違う仕事や表現、遊びを創作したい…

文章を書くのは現在地を把握すること

時間は過ぎていく。今は瞬間で過去になる。今は過去になることを常に継続している。ぼくも常に過去になる。生きているから今を過去に送りつつ常に新しくなる。 朝起きて妻と話しながら、桜の樹を掘り出すことにした。スコップと鍬を軽トラックに積んでキャン…

原始のガラスとは何か。

真の自由は、問題そのものを構成し、それを規定するチカラのなかにある。その覆いをとることは、発見することになる。しかし、問題を設定することは単に発見することではない。それは発明することである。 ベルクソニズム ジルドゥルーズ 制作の時が来た。個…

社会と自然のバランスのなかで。その気持ちいいところ。

過ぎていく時間のなか、やりたいことをカタチにしていくと、そのカタチは種になってやがて芽を出す。それを繰り返すことで、その芽は成長し花を咲かせる。 社会では経済活動が最優先される。お金にならないことを誰も評価しない。そもそも自分自身の価値をお…

生きることを家が教えてくれた。

愛知の長屋が火事になった。6年前に改修を手掛けた家だ。家賃を安くすれば好きなことをして生きていける、そう閃いてぼくは空き家を探した。素人のぼくに家を直させるなんて、そんな発想に付き合ってくれる人は、ほんとうに稀だと思う。ところがそんな人が…